
営業から別の仕事に転職するのは厳しい?
営業を続けることに違和感を持ち始めたとき、多くの人が一度は転職を考えるのではないでしょうか?
営業しか経験していない。専門資格もない。他に活かせそうな経験もない。そう考えると、「結局、次も営業を選ぶしかないのでは」と不安になるかもしれません。
ただ、私自身は営業職から働き方を変え、現在は在宅を中心に様々な仕事をしています。その経験から感じるのは、営業からの転職で本当に大切なのは、営業を何年やったかではなく、その中で何ができるようになったかを整理することです。
営業経験には、顧客対応だけでなく、ヒアリング、提案、資料作成、社内調整、進捗管理など、別の仕事でも使える力が多く含まれています。
一方で、「営業職歴5年です」という職歴だけでは、その強みは相手に伝わりません。
この記事では、営業からの転職を考えている方に向けて、営業経験を別の仕事へどうつなげるのか、転職が厳しくなりやすいケース、営業経験を活かせる職種、在宅ワークを目指す場合に補いたいスキルまで、営業経験者・採用する側の両方の視点から整理します。
営業からの転職は本当に厳しいのか
結論からいえば、営業から異職種への転職は厳しいとは限りません。
ただし、「営業しかやったことがありません」という状態のままでは、選択肢が見えにくくなるのは事実です。
理由はシンプルで、営業という職種名だけでは、その人が何をできるのか分からないからです。
同じ営業でも、新規開拓を中心にしてきた人と、既存顧客のフォローを中心にしてきた人では経験が違います。法人営業と個人営業でも、求められる調整力や提案の進め方は異なります。
そのため、転職を考えるときは「営業から何に転職できるか」を先に探すより、まず営業時代の仕事を細かく分解した方がよいと思います。
そしてもう1つ。
この記事を読み、ご自身のスキルや今後のキャリアを考える中で、
「営業しかできない」という無意識のメンタルブロックを外すきっかけになればと思います。
「営業しかできない」と思う前に、仕事を分解してみる
たとえば、法人営業を5年間経験した人がいるとします。
職歴だけを見ると、
「法人営業5年」
です。
しかし実際は、その5年間で次のような仕事をしていませんか?
- 顧客へのヒアリング
- 課題の整理
- 提案内容の検討
- 提案資料の作成
- 見積書の作成
- 社内の技術部門との調整
- スケジュール管理
- 契約手続き
- 導入後のフォロー
- 売上や案件進捗の管理
ここまで分解すると、営業以外の仕事との共通点が見えてきます。
営業経験を「営業」という一つの箱に入れて考えると、選択肢は狭く見えます。
一方で、経験を業務単位に分けると、次の仕事で活かせる力が見つかります。
私自身も、営業職から働き方を変えるときに、それまでの経験をすべて捨てたわけではありません。
むしろ現在の仕事でも、相手の話を聞くこと、課題を整理すること、説明すること、社内外を調整することは日常的に使っています。
職種が変わっても、仕事の中で身につけた力は残ります。
営業経験を別職種へ転用するとどうなるか
営業経験を別の仕事へ置き換えて考えると、意外と多くの選択肢があります。
| 営業で経験してきたこと | 活かしやすい職種・業務 |
|---|---|
| 顧客ヒアリング | カスタマーサクセス、採用、企画 |
| 提案 | 営業企画、事業企画、CS |
| 提案資料作成 | 営業企画、事務、企画職 |
| 既存顧客フォロー | カスタマーサクセス、カスタマーサポート |
| 社内調整 | 営業事務、PMO、企画、秘書 |
| スケジュール管理 | 事務、アシスタント、プロジェクト支援、秘書 |
| 数字・案件管理 | 営業企画、管理業務、PL |
| 商談 | インサイドセールス、オンライン営業 |
| 顧客との関係構築 | CS、人事・採用、カスタマーサポート、 |
| 顧客の案件推進 | PMO、PL、コンサルタント、フィールドセールス、企画 |
もちろん、これだけで即座に異職種へ転職できるという意味ではありません。
ただ、「営業しか経験がない」という見方から、複数のビジネススキルを経験してきた人という見方に変えることはできます。
この視点を持てるかどうかで、転職先の探し方も変わります。
営業からの転職が厳しくなりやすい人の特徴
営業経験があれば、どんな仕事にもそのまま転職できるわけではありません。
むしろ、営業経験の伝え方によっては異職種転職が難しくなることがあります。
「営業しかできない」と自分で決めつけてしまう
転職活動で最ももったいないのは、自分から選択肢を狭めてしまうことです。
「営業しかしていないので、他の仕事はできません」
と言ってしまえば、採用する側も判断材料がなくなります。
重要なのは、「営業をしていた」ではなく、営業を通じて何をしていたのかです。
実績・結果だけをピックアップしている
営業では、売上や達成率が評価されます。
もちろん実績は重要ですが、異職種転職では売上だけを伝えても十分ではありません。
たとえば、
「年間売上○○万円を達成しました」
だけでなく、
「顧客へのヒアリングから提案、導入後のフォローまで担当していました」
と伝える方が、別職種で使える能力が見えます。
どのように相手に伝わるのか。という観点で表現方法もぜひ考えてみてください。
次の仕事に必要なスキルを補っていない
営業経験には多くの強みがありますが、次の職種によっては不足するスキルもあります。
たとえば事務や企画へ移る場合、ExcelやPowerPointなどの操作力を求められることがあります。
在宅ワークであれば、さらにオンラインでのコミュニケーションやファイル共有、タスク管理なども必要になります。
営業経験があるから何も学ばなくてよい、というわけではありません。
持っている経験を活かしながら、不足している部分だけを補っていく。
この考え方・進め方が現実的です。
営業経験を「転職市場で伝わる言葉」に変換する
営業から異職種へ転職するとき、私が特に重要だと思うのが、経験の言語化です。
たとえば、
「法人営業を5年間経験」
だけでは、業務内容はほとんど伝わりません。
これを、
「法人顧客へのヒアリングから提案、見積作成、社内調整、導入後のフォローまで一貫して担当するフィールドセールス」
とすると、かなり印象が変わります。
さらに、
「顧客からの要望を整理し、社内の技術担当と調整しながら提案内容を組み立てていた」
と説明できれば、調整力や課題整理力まで伝わります。
具体的な成功例や経験談があるとより良いです。
営業経験を棚卸しするときは、
何を売ったか
ではなく、
どう仕事を進めていたか
まで掘り下げてみてください。
これは職務経歴書を書くためだけではありません。
自分自身が、次にどんな仕事を選べるのかを知るためにも役立ちます。
採用する側になって分かった営業経験者の強み
私は営業を経験した後、現在は経営する側、仕事を依頼する側にもなりました。
採用する立場になって改めて感じるのは、営業経験者には、資格やツールの操作だけでは測れない力があるということです。
たとえば、相手が何を求めているのかを考える必要があります。
依頼内容が曖昧でも、「相手は何を期待しているのか」を確認しながら仕事を進められる人は、実務では非常に助かります。
また、営業では期限や数字を意識するため、仕事を最後まで進める感覚も身につきやすいと思います。
報告する。確認する。相手に合わせて説明する。進捗が遅れそうなら早めに共有する。
こうした力は、営業以外の仕事でも非常に役立ちますし、なにより必要です。
逆に、パソコン操作が得意でも、相手の意図を読み取れなかったり、報告ができなかったりすると、仕事は任せにくくなります。
相手を不安にさせるコミュニケーションでは、信頼を勝ち取れないのです。
これは、みらいコーデで「実務再現性」を重視している理由の一つでもあります。
営業を辞めたいのか、営業の働き方を変えたいのか
転職を考える前に、もう一つ整理してほしいことがあります。
それは、
営業そのものを辞めたいのか、今の営業スタイルを変えたいのか
という違いです。
たとえば、
外回りがつらい。
移動が多い。
テレアポが苦手。
新規開拓がしんどい。
毎日出社する働き方が合わない。
こうした悩みであれば、営業職そのものを辞めなくても解決できる可能性があります。
インサイドセールス、オンライン営業、既存顧客営業など、同じ営業でも働き方は大きく違います。
一方で、
顧客との交渉自体がつらい。
数字を追う仕事そのものが合わない。
という場合は、別職種を考えた方がよいかもしれません。
「営業が嫌だ」という一言で終わらせず、何が合わないのかを具体的にすることで、転職先選びの失敗を減らせます。
営業経験を活かしやすい転職先
営業経験を活かしながら職種を変えるのであれば、営業と共通する業務が多い仕事から考えると移行しやすくなります。
ただし、職種名だけを見ても実際の仕事内容は分かりにくいものです。ここでは、それぞれの仕事がどのような業務をしているのか、その中で営業経験がどう活きるのかまで整理します。
カスタマーサクセス(CS)
カスタマーサクセスは、サービスを契約した顧客に対して、導入後の活用支援や定着支援を行う仕事です。
たとえば、SaaSなどのクラウドサービスであれば、初期設定の支援、操作方法の案内、利用状況の確認、課題のヒアリング、活用方法の提案などを行います。企業によっては、契約更新や利用拡大の提案まで担当することもあります。
営業との大きな違いは、「契約を取ること」がゴールではない点です。
むしろ、契約後に顧客がサービスを十分に使えているか、課題を解決できているかを継続的に支援します。
営業経験者であれば、顧客の話を聞く力、相手の状況を理解する力、課題を整理して提案する力を活かしやすいです。
特に、新規開拓よりも既存顧客との関係構築が得意だった人や、売ることよりも相手を支援する方が好きだった人には相性があります。
「数字を追い続ける営業は疲れたけれど、顧客と関わる仕事は嫌いではない」という人にとっては、比較的イメージしやすい転職先です。
営業企画・商品企画
営業企画は、営業担当者が成果を出しやすくなるように、営業活動全体の仕組みを整える仕事です。
具体的には、営業資料の作成や改善、営業プロセスの整理、KPIの設計、売上データの分析、キャンペーン企画、顧客リストの管理、営業ツールの導入支援などを行います。
会社によっては、現場の営業担当者への研修や、営業会議用の資料作成、施策の効果検証まで担当することもあります。
営業企画では、実際の営業現場を理解していることが大きな強みになります。
たとえば、
「この資料は顧客に伝わりにくい」
「この営業フローでは案件管理がしにくい」
「現場ではこの数字を追った方がよい」
といった感覚は、営業を経験した人だからこそ分かる部分があります。
そのため、営業現場で感じていた非効率や課題を、「仕組みとして改善する側」に回りたい人には向いています。
顧客と毎日商談するよりも、データを見たり、資料を作ったり、営業チーム全体を支えることに興味がある人におすすめしやすい職種です。
営業事務・営業アシスタント
営業事務や営業アシスタントは、営業担当者が営業活動に集中できるよう、事務面から支える仕事です。
主な業務としては、見積書や請求書の作成、提案資料の準備、顧客情報の入力、受発注処理、契約書の管理、スケジュール調整、メール対応などがあります。
企業によっては、顧客からの問い合わせ対応や、営業会議用の資料作成、売上データの集計まで担当することもあります。
営業経験者にとっては、業務の流れを理解していることが大きなメリットです。
営業担当者が「次に何を必要としているのか」を想像しやすく、資料や見積もりの準備も先回りして進めやすくなります。
また、顧客とのやり取りを経験している人であれば、メールや電話対応でも相手の意図を汲み取りやすいでしょう。
「営業の数字責任からは離れたいけれど、営業現場で培った経験は活かしたい」という人には、現実的な選択肢の一つです。
採用・人事関連
採用や人事は、営業とは異なる職種に見えますが、実際には共通する部分が多くあります。
採用担当であれば、求人票の作成、応募者対応、面接日程の調整、面接、候補者への会社説明、内定後のフォローなどを行います。
企業によっては、人材紹介会社とのやり取りや、採用イベントへの参加、採用広報、入社後のオンボーディングまで担当します。
この仕事では、相手の希望や価値観を聞き取り、自社の魅力を伝え、意思決定を支援する力が求められます。
この点は営業と非常によく似ています。
商品を売る代わりに、「会社」や「仕事」を相手に伝える仕事だと考えると分かりやすいです。
また、相手に合わせて説明の仕方を変えたり、質問の意図を読み取ったりする力も活かせます。
人と話すことは好きだけれど、売上や契約件数を追う営業からは離れたいという人には、一つの選択肢になります。
インサイドセールス・在宅営業
インサイドセールスは、電話やメール、Web会議などを使い、訪問せずに営業活動を行う仕事です。
企業によって役割は異なりますが、見込み顧客へのアプローチ、問い合わせ対応、ニーズのヒアリング、商談の設定、既存顧客へのフォローなどを担当します。
訪問営業との違いは、移動せずにオンラインで複数の顧客へ対応できる点です。
そのため、外回りや長時間の移動に疲れている営業経験者にとっては、これまでの経験を比較的そのまま活かしやすい職種です。
最近では、商談から契約までオンラインで完結する企業もあり、完全在宅やフルリモートで働ける求人もあります。
営業経験がある人であれば、ヒアリングや提案、商談の進め方など、すでに持っているスキルを活用できます。
一方で、対面ではなくオンラインで信頼関係をつくる力や、チャット・メールでのコミュニケーション力は必要になります。
「営業そのものは嫌いではない。でも毎日の外回りや通勤を変えたい」という人にとっては、職種を大きく変えずに働き方だけを変えられる可能性があります。
この5職種は、どれも営業経験を完全に捨てる転職ではありません。
むしろ、営業で身につけた力の何の部分を残し、どの負担を減らしたいか?によって選ぶ仕事が変わります。
顧客との関係構築を残したいならカスタマーサクセス、仕組みを考えたいなら営業企画、支援側へ回りたいなら営業事務、といったように、自分の営業経験を分解して考えると次の職種を選びやすくなります。
営業から在宅ワークへ転職するなら補いたいスキル
営業経験は在宅ワークでも活かせます。
ここからは、在宅ワークを前提としてキャリアプランを検討したい人向けに必要なスキルを整理します。
在宅ワークでは、オフィスで働いていると当たり前に周囲へ聞けていたことも、在宅では自分で整理して進める必要があります。
たとえば、
- Excel・Word・PowerPointなどの基本操作
- オンライン会議
- チャットでの報告・相談
- クラウド上でのファイル管理
- タスク管理
- スケジュール管理
- オンライン上での文章コミュニケーション
などです。
特に重要なのは、ツールを知っていることではありません。
実際の仕事では、
「依頼内容を理解する」
「不明点を確認する」
「期限までに進める」
「途中経過を報告する」
「完成した成果物を共有する」
という一連の動きが必要です。
私自身も在宅ワークへ移るまで、かなり遠回りしました。
当時は「何を勉強すれば在宅で仕事ができるのか」が分からず、知識を増やすことと仕事ができることの違いにも、後から気づきました。
その経験が、現在のみらいコーデのカリキュラム設計にもつながっています。
私自身も「営業経験をどう活かすか」が最初から分かっていたわけではない
今振り返れば、営業時代に身につけたものが現在の仕事に多くつながっていると実感します。
ただ、当時から明確に分かっていたわけではありません。
在宅ワークというと、プログラミングやWebデザインのような専門スキルを新しく身につけなければならないと思っていた時期もありました。
結果として、働き方を変えるまでにはかなり時間がかかりました。
その中で気づいたのは、新しいものを身につける前に、すでに持っているものを整理することが大切だということです。
営業経験のすべてが次の仕事で使えるわけではありません。
それでも、顧客対応、提案、調整、資料作成、進捗管理など、使えるものはたくさんあります。
そこに不足するスキルを足していく方が、ゼロから別人になるより現実的です。
みらいコーデが「特別な資格はいらない」と考えている理由
みらいコーデでは、営業、事務、企画、カスタマーサクセスなど、すでにビジネス経験を持っている人を対象にしています。
理由は、仕事をしてきた人にはすでに土台があるからです。
営業経験者なら、顧客対応や調整力があります。
事務経験者なら、正確性や管理力があります。
企画経験者なら、情報整理や資料作成の経験があります。
そこへ、オンラインツールの活用や在宅での報告・相談、資料作成、タスク管理などの在宅ワークに必要な経験・スキルを追加で習得していく。
この方が、これまでのキャリアを捨てずに働き方を変えやすいと考えています。
だからこそ、みらいコーデでは動画視聴だけではなく、上司から依頼されたことを想定して資料を修正する、質問する、提出する、報告する、プレゼンするといった実務に近い演習を取り入れています。
目指しているのは、「知っている人」ではなく、仕事を任せてもらえる人です。
まとめ:営業からの転職で大切なのは「捨てる」より「組み替える」
営業から転職しようとすると、
「今までの経験を捨てて、新しい仕事を始める」
という感覚になりやすいと思います。
私は、必ずしもそう考える必要はないと思っています。
営業で身につけたものを一度分解してみる。
次の仕事でも使えるものを残す。
不足しているスキルだけ新しく身につける。
このようにキャリアを組み替えていけば、これまで働いてきた時間は無駄になりません。
営業からの転職が厳しいかどうかを考える前に、まずは、
自分は営業で何ができるようになったのか。
ここから整理してみてください。
「営業しかできない」と思っていた人ほど、実際に書き出してみると、想像以上に多くの経験を積んでいることに気づくはずです。
